熱プレスの巻き加工で新たな価値を創出
~持ち運びやすさと収納性を両立~

当社では、三次元網状繊維構造体「ブレスエアー®」を「くるくる巻ける形状」に加工する技術を有しています。熱プレスによってこのような構造に仕上げています。

一見シンプルな形状に見えますが、その裏には温度と圧力の絶妙なバランス制御という繊細な技術が隠れています。

温度と圧力の「わずかな差」が品質を左右する

三次元網状繊維構造体「ブレスエアー®」は、弾力と復元性に優れた素材である一方、加熱時には非常にデリケートな特性を示します。

温度が低すぎれば圧着が不十分で形が保てない。
高すぎれば樹脂が過溶融し、くっつきすぎて破れてしまう。

また、圧力が強すぎると空気層が潰れ、素材の特長である通気性や反発力が失われてしまいます。

つまり、「温度」と「圧力」、そして「時間」。この3要素のわずかな違いが、仕上がりの品質を大きく左右するのです。

成功の鍵は「温度 × 圧力 × 冷却」の黄金バランス

ブレスエアー素材を熱プレスでくるくる丸められる仕様にした

数十回におよぶ実証実験。
加熱温度を1℃刻みで変え、圧力の強さや冷却タイミングも細かく調整し、最適な条件を導き出すための地道な検証を続けました。

当初は、巻き上げ直後は美しくても、冷却後に“パカッ”と開いてしまう現象が繰り返し発生。そこで私たちは、素材内部に残る熱とテンション(引っ張り力)のバランスに着目しました。

加熱と圧力を同時に制御し、冷却のタイミングを調整することで、空気層を保ったまましなやかに巻ける形状を安定的に再現できるようになりました。

「巻く」という発想が生んだ、新しい機能価値

巻き加工は、単なる形状変化の技術ではありません。素材そのものの性能を拡張する技術です。

従来、三次元網状繊維構造体「ブレスエアー®」は平面用途が中心でした。


しかし、「巻ける」ようになったことで――

●搬送・輸送コストの削減

●保管効率の向上(省スペース化)

●製品ラインナップの多様化

といった新たな価値が加わりました。

ブレスエアー素材をくるくる巻きに加工する技術力

今では、車中泊マットやペット用の屋外マットなど、「現場で使いやすく、持ち運べて、清潔に保てる」製品に欠かせない要素として採用が進んでいます。

“巻く”という発想が、三次元網状繊維構造体「ブレスエアー®」に可搬性と汎用性という新しい機能価値をもたらしています。

まとめ

“素材を活かす技術”から“素材に新しい価値を与える技術”へ。
私たちはこれからも、挑戦と工夫で素材の可能性を広げていきます。

お客様の業界に合わせて、サイズ・厚み・形状のカスタマイズも可能です。ご興味をお持ちの業界担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。