モビリティを支える技術
~ 設計意図を正確に形にする、複雑形状×抜き加工技術 ~

自動車業界ではいま、快適性・デザイン性・安全性・環境性のすべてを両立させることが求められています。
その中で、素材の特性を活かしながら“設計者の意図を正確に形にできる加工技術”は、車内空間づくりの競争力を大きく左右する要素となっています。

当社では、三次元網状繊維構造体「ブレスエアー®」を用い、複雑形状加工抜き加工という二つの精密技術によって、設計自由度と量産安定性の両立を実現しています。

デザイン性と快適性を両立する「複雑形状加工」

シートやアームレスト、ヘッドレストなどの車内構造には、“見た目の美しさ”と“座り心地の快適さ”の両立が求められます。しかし、三次元網状繊維構造体「ブレスエアー®」のような高反発・高通気素材は、繊維の向きや密度によって収縮率が変化し、設計通りの曲面を安定的に再現することが難しい素材でもあります。

当社では、温度を1度単位・圧力をミリ単位で制御し、繊維の方向や構造の応力を見極めながら熱プレス成形を実施。
R形状や立体カーブを滑らかに仕上げることで、設計図面に忠実なフォルム再現を可能にしています。

ブレスエアー素材の加工品複雑形状

これにより、

●設計意図を反映した立体的デザインの実現

●体圧分散・通気性を兼ね備えた快適な座り心地

●軽量化と強度の両立による燃費改善への貢献

といったメリットを提供。
機能性と造形美を両立させる「素材加工の精度」が、車内品質の印象を大きく変えます。

金具や構造部に正確対応する「抜き加工」

車内設計においては、シートベルト金具やレバー、エアバッグ展開構造など、機能部品との干渉を避けながら中材を設計することが不可欠です。特に三次元構造素材では、単純な打ち抜きでは繊維が潰れ、形が崩れやすいという課題がありました。

当社は、抜き打ち位置の精度を1mm単位で管理し、圧力による沈み込みを抑えるために補助素材を組み合わせながら加工。さらに、繊維の流れや密度に応じて抜き刃の角度を微調整することで、強度を保ちながら美しい切断面を実現しています。

この精密な抜き加工により、

●レバーや金具との正確な位置合わせ

●通気孔やデザインパターンの均一再現

●組み立て工程の効率化・作業時間の短縮

といった開発・生産両面の最適化が可能になります。
安全性と美観の両立を求めるモビリティ分野において、抜き加工は“機能を生かすための構造設計技術”として重要な役割を担っています。

複雑形状 × 抜き加工がもたらす設計メリット

この二つの加工技術を組み合わせることで、三次元網状繊維構造体「ブレスエアー®」の可能性はさらに広がります。

複雑形状加工で得られる立体的な構造の美しさに、抜き加工で付与する通気孔・金具部・構造連結部の精度が加わることで、設計者が求める「自由な形」「軽さ」「耐久性」「見た目の完成度」を同時に実現できます。

また、製造段階では、

●加工条件データ(温度・圧力・位置)の数値化による再現性向上

●加工治具・補助材の改良による歩留まり改善

●試作段階から量産までの一貫対応

といった量産品質の安定化にも取り組んでおり、設計段階から「量産を見据えた開発サポート」が可能です。

モビリティの未来を、技術で支える

モビリティ開発の現場では、“性能・デザイン・環境”の3要素をいかに両立するかが、次世代開発のテーマになっています。

三次元網状繊維構造体「ブレスエアー®」はポリエステル単一素材で構成され、リサイクルや再成形が可能なサステナブル素材です。高い耐久性によって交換頻度を減らし、ライフサイクル全体で環境負荷を軽減します。

リサイクル可能で地球にもやさしい

三次元網状繊維構造体「ブレスエアー®」の製造工程で発生する端材や規格外品を原料として再び利用する技術が確立されており、マテリアルリサイクルが実行されています。

当社は、素材・加工・構造の三位一体で、モビリティの「見えない快適性」を支える技術を提供し続けます。

複雑形状や精密抜き加工に関するご相談は、ぜひ設計段階からお声がけください。
素材の可能性を最大化し、理想の設計を“形”にするお手伝いをいたします。