
ものづくりという新たな道 — もう一度、夢中になれる場所へ—
2023年入社 金型開発
車からものづくりの新しい世界へ
長年、自動車の安全部品メーカーでキャリアを重ねてきました。
エアバッグモジュールやステアリングホイールの製品設計・開発に携わり、機械設計、縫製、樹脂成形など、多岐にわたる技術に触れてきました。
定年を間近に控える頃には、新人向けに作業安全の講習や、部署内のルール整備といった、次世代に技術を継承する役割も担うようになりました。
しかし、60歳を過ぎた頃、ふと心に芽生えた想いがあったんです。
「自動車業界以外のものづくりに挑戦してみたい」
滋賀県内で求人を探しましたが、正直、年齢を考えると選択肢は狭く、厳しい現実を突きつけられました。
それでも、長年の技術経験が活かせる場所を諦めきれずにいたとき、自宅からも近く、パートでも開発職を募集している近江化成が目に留まりました。
車とは全く違うものづくりに関われるかもしれない。そんな期待を胸に応募しました。

「町の工場」で、もう一度学ぶ

入社後、配属されたのは新製品の開発・試作を行う部署。
リーダーと二人三脚で、金型の設計から試作、量産治具の開発まで、多岐にわたる業務を手掛けています。
初めて経験する樹脂の熱プレスやブレスエアー®加工に戸惑い、入社当初は量産工程での終日の立ち仕事に正直「しんどいな…」と感じることもありました。しかし、不思議と心は満たされていきました。
試作室はまるで昭和初期の町工場の雰囲気で、隣の現場では、口数少なくも黙々と高品質な製品を生み出す、自分には真似できない職人技を持つプロ集団がいました。
毎日違うものを作る現場で、先輩たちから作業のコツを教わり、それをメモして次に活かす。
そうした地道な繰り返しの中で、少しずつこの職場に馴染んでいくのを感じました。

失敗と向き合い、手に入れた「やりがい」
ものづくりに失敗はつきものです。
抜き型を潰したり、熱を加えすぎて素材を溶かしてしまったり、たくさんの失敗をして現場に迷惑をかけてきました。
特にブレスエアー®加工は、一度間違えるとやり直しが効かないため、悔しい思いもしました。
それでも、失敗から学べることも多いんです。
「なぜ、狙い通りにいかなかったのか?」
試作を重ね、観察し、記録を残し、次の成功につなげる。
この地道なプロセスが、私にとってはたまらなく面白いんです。
やりがいを感じた枕の量産化
特にやりがいを感じたのは、この夏に量産化された枕です。
お客様の「高さ」への強いこだわりを叶えるため、ブレスエアー®の種類や重ね方を何度も試作し、冷却しながら形を整える工程を追加するなど、手間暇を惜しまず向き合いました。
その枕の量産では、私が考案したブレスエアー®の位置決め治具が採用されました。
自分のアイデアが形になり、実際の工程で活かされるのは本当に嬉しい瞬間です。
もちろん、不良が出たときは改良の余地を感じることもありますが、
「もっと良いものを作りたい」
という意欲が湧いてきます。
温かい職場で、未来の仲間へ

近江化成の魅力は、社員一人ひとりの経験や想いを尊重してくれる温かい社風です。
中でも特に驚いたのは、P.F.ドラッカー氏の読書会。
社長が聞き役となり、社員やパートが立場を超えて学びを深め合う機会が設けられていました。
このような取り組みが、会社全体を成長させているのだと感じます。
現場の雰囲気も非常に温かく、新人でも気後れすることなく質問できます。
台車を引いているときに、さりげなく後ろからサポートしてくれる同僚がいるなど、言葉を交わさずとも通じ合う、温かいチームワークがこの場所にはあります。
ものづくりへの新たな意欲
「一筋縄ではいかない。だからものづくりは面白い。」
そう実感できる毎日です。
定年を迎え、一度は立ち止まった私が、再びものづくりに挑戦できる喜びを、この場所で日々噛み締めています。
もし、かつての私のように
「もう一度、夢中になれるものを見つけたい」
と考えている方がいたら、ぜひ近江化成の扉を叩いてみてください。
この場所でなら、きっとその思いが叶うはずです。